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東室ウィークリー

東室ウィークリー

【東室ウィークリー Vol.120】new!

更新日:2020.02.10 

【東室ウィークリー Vol.120】

みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
今回は東室ウィークリーをお届けさせていただきます。
当団ミュージックパートナーの志村健一氏に間もなく開催となる、2月15日のコンサートに向けてお話を頂きました。

当団との関わりから、コンサートについて、CDレーベル「DEGA」についてもお話いただきましたので、今回は2日間(※)にわたり東室ウィークリーをお届けしたいと思います。
※Facebook掲載時。東室ホームページ版では1ページにまとめて掲載しております。

当団と志村マエストロとの関わり、そしてロシアとの交流、CDレーベルの発足について、
そしてソリストを務める、当団ソロ・コンサートマスターの物集女純子さん、首席トランペット奏者の津守祥三さんとのロシアでの取り組みの様子や、コンサートの聞き所についてお話いただきました。

それではどうぞ!!


東京室内管弦楽団(以下、東室)ミュージックパートナーの志村健一です。『Luxury Classics Maestor Select Vol.2~日露文化交流・平和祈念~』も開催の1週間前となりました。
改めまして、本公演につきまして、私の想いをお伝えしたく存じます。その前に、今回の公演に至るまでの、私と東室と共に目指してきた事、そして取り組んできた事について、先ずお聴き頂けたら幸いです。

・東京室内管弦楽団と共に取り組んできた『日露文化交流』

2018年から2019年を「日露文化交流元年」として、ロシアでは『ロシアにおける日本年』、日本では『日本におけるロシア年』をそれぞれ掲げ、お互いの国を紹介する事業を外務省管轄下で開催して来ました。
2020年は「日露地域・姉妹都市交流年」(日露地域交流年)が予定され、日露の地域交流の一層の深化及び発展を目指しています。こうした動向をご存知ない方も多いかも知れませんが、
ロシアではこの活動の影響で「日本」に具体的に関心を持つロシアの皆さんが急速に増えました。

私はこうした両国の文化交流が加速する中、昨シーズンは約6ヶ月間に及ぶ規模で、
ロシアおよび旧ソ連圏の諸国33都市において、日本のアニメやゲームのオーケストラコンサートを実施し、
日本発祥の優れたコンテンポラリー芸術として紹介し、総動員数は3万人を超えました。
また、これまでに、小笠原伸子(東室 コンサートマスター)、物集女純子(東室 ソロ・コンサートマスター)、本田幸治(東室 首席フルート奏者)、津守祥三(東室 首席トランペット奏者)、
の各氏を日本のヴィルトーゾとして紹介し、ロシア各地のオーケストラに客演しました。
いずれも好評を博し、日本の音楽家の水準の高さを証明して来ました。
こうしたロシアでの活動に連動し、『日本におけるロシア年』の一環として、『Luxury Classics Maestor Select』シリーズにおいて、「~日露文化交流・平和祈念~」と言うサブタイトルを付けさせて頂き、
ロシアプログラムを昨年から始動致しました。本公演はそのVol.2となります。
・メロディア&フィルハーモニアとの録音からDEGAレーベル発足へ
私は、これまで、西はロシア最西端のカリーニングラードから、東は極東のウラジオストクまで、旧ソ連圏の諸国を含む33都市の在京オーケストラと共演を重ねて来ました。
地域によって隣国との影響から人種や宗教、文化、も様々な様相を見せ、
世界最大の国面積を誇るロシアの、広大な大地の様な圧倒的演奏にいつも魅了されました。
その中で、特に私にとって大きな分岐点となったのは、フィルハーモニア(現:サンクトペテルブルク交響楽団)とメロディア(ロシア最大のレーベル会社)との録音でした。

2009年1月15日、サンクトペテルブルグのロシア最大レコード・レーベル”Μелодия(メロディア)”のスタジオで、St.Petersburg Symphony Orchestra(現:サンクトペテルブルグ交響楽団)とチャイコフスキーの交響曲第4番を録音するという素晴らしい機会を頂いた。
当時、マイリンスキー劇場専属指揮者のA.ポリャニチコ氏に指揮法を師事し、現地のオーケストラに通い下積み時代でした。
以前、お世話になっていたオーケストラのファゴット奏者が退職され、サンクトペテルブルグ・フィルハーモニアでオーケストラのマネージャーとして働いました。
当時では珍しかった日本人の修行中の指揮者の私を、いつも気に掛けてくれていた彼が、
私の為に特別な計らいでこの素晴らしい機会を用意してくれたのでした。
フィルハーモニアは、1802年設立。
かつて、このフィルハーモニア傘下であった、ムラビンスキー率いるレニングラード・フィルハーモニー交響楽団(現:サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団)は世界を席巻しました。

名門のスタジオと名門のオーケストラを前に無名の日本人が指揮台に立ち、
彼らから紡がれる音の渦に飲み込まれながら、全力でタクトを振り続けました。

ロシアの録音現場は、リハーサル無しでいきなり録音が開始されます。最初は驚来ましたが、始まって直ぐに意味はわかりました。

「お互いに音楽は知っている。本番で音楽を作るだけ。練習はいらない」。

当時、私は日本人の感覚で、微少のミスがどうしても細部を気にして何度もリテイクをリクエストしましたが、『問題ない。音楽を止めないで先に行こう』とコンマスから諭されました。
あの時はその言葉の本当の意味がわかっていませんでした。
大きく音楽を感じるからこそ、ロシア音楽は動き畝るのです。

休憩中に、ベテランの奏者の方が私のところに来て、ムラビンスキーとの思い出を誇らしげに話してくれたのも懐かしい。
メロディアとの関係は、その後の、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(2019年5月27日録音:カレリア・フィルハーモニー交響楽団&物集女純子)、Summer Pockets オーケストラアルバム(2019年6月5日録音:サンクトペテルブルグ・シンフォニー・オーケストラ)、
アルチュニアンのトランペット協奏曲(2019年12月21日録音:サンクトペテルブルグ・シンフォニー・オーケストラ&津守祥三)等の共同制作に繋がります。

・DEGA RECORDS について
東室は1928年の発足以来、『求められる演奏活動』を掲げ、近年は『新しい「感動」と出会えるオーケストラ』として、
常に柔軟な姿勢で時代に寄り添い独自の活動を続けてきた。古典から現代まで、
あらゆる音楽、芸術に真摯に向き合いレパートリーに取り入れてきたオーケストラです。

2018年、創立90年の節目を迎え、新たな取り組みとして『DEGAレーベル』を設立致しました。
DEGAとは、東室が目指す、Drama(感動)、 Education(教育)、Groval(国際的)、Artistic(芸術性)、の頭文字から成り、我々の音楽活動をより広く発信する為の手段の一つとなります。

近年、編集技術の進歩に伴い、精巧に編集された無傷な演奏をリリースする事が一般的ですが、
DEGAは、その瞬間にオーケストラから紡ぎ出される魂が込められた一本の演奏をそのまま伝えたい、というのが基本姿勢です。
芸術家たちの息使いや会場のノイズさえも、全てをそのまま伝えたいのです。

このプロジェクトを立ち上げるに際し、Elena Kostyuchenko、三澤慶、津崎知之、の各氏のご尽力に感謝申し上げます。
オーケストラが現代社会において真に果たすべき使命に、今一度立ち返り、 DEGAレーベルが東室から皆様に魂を込めた『音楽』を届けて参ります。

また、DEGAにもう一つ大切な由来があります。それは、東室のイメージキャラクターである、豚の「れみ・そら(DE・GA)」です。
東室が長い歴史で積み上げた演奏記録と、私がロシアのメロディアと開始したスキームによる録音の掛け算が、このレーベルを具現化しました。

そして2020年11月12日、東室ソロ・コンサートマスター物集女純子氏による初のソロCD「Violin Lovers Vol.1」をリリース。

コンサートの開催に合わせ販売を開始し、好評を博しました。

現在は新しいCDリリースにむけ準備を進めております。
どうぞお楽しみにしていてください。

・チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲と物集女純子氏との取り組み

特に、ロシア連邦カレリア共和国でのレコーディングでは、フィルハーモニーとメロディアと万全なチームを組みました。
カレリアの首都ペテロザボーツクまでは、サンクトペテルブルクからシベリア鉄道で6時間。
フィンランドとの国境にほど近い、大自然に囲まれた環境で、物集女さんの渾身のチャイコフスキーを2日間に渡って録音し続けました。

現地のテレビ局のスタジオでの録音でしたが、挨拶も早々にマイクチェックが済むと録音開始。
第一楽章がはじまると直ぐに、その重厚なフィルハーモニーの演奏に圧倒されながらも、全く動じない堂々たる物集女氏の渾身の独奏が重なり、音楽が協奏し始める・・。
このファーストテイクで意気投合してからはソリストとオーケストラの距離が急接近し、音楽的にトライするテイクを積み重ねて行きました。

この共演で衝撃を受け、私は物集女氏のヴァイオリンは世界に通用すると確信しました。
この演奏は、DEGAレーベルの『Violin Lovers Vol.1』に収録されています。物集女氏には、2020年秋もメロディアとの共同制作で録音のプロジェクト、およびロシアでの継続した客演要請が来ています。

・A.アルチュニアン トランペット協奏曲と津守祥三氏との取り組み

本作品は、トランペット界では不動のレパートリーであるが、この曲をフルオーケストラとソリストの共演を聴く機会は、日本のオーケストラ界では稀である。
アルチュニアンはアルメニア出身の作曲家ですが、モスクワ留学でロシア音楽に非常に影響を受けています。
この作品にも「ロシアらしさ」「アルメニアらしさ」が色濃く混在し、民族性と叙情性が随所に感じられる。本作品がソ連時代の著名なトランペット奏者ドクシツェルに献呈された事もあり、ロシアのオーケストラでは演奏機会も多く、大変有名な協奏曲です。
本年(2020年)、アルチュニアンが生誕100年の節目を迎えた事を踏まえて、この作品を再考察し津守祥三氏と共に取り組んでみたいと考えました。

津守氏は現在の東室において絶対の信頼を置き、トランペットのヴィルトゥオーソとしても近年、飛躍的な成長を遂げている。
2019年12月に、Symphony orchestra of Saint Petersburg ( Artistic Director Sergey Stadler) サンクトペテルブルグ・シンフォニー・オーケストラとロシア最大のレーベル”メロディア”のレコーディングエンジニアとスタジオ録音し、特別公演にも客演し好評を博しました。
管弦楽は、創立9年目の新設オーケストラだが、
チャイコフスキーコンクールの覇者のS.スタドレルの音楽監督の元、厳選したメンバーで構成されたサンクトペテルブルグの革新的なオーケストラで世界ツアーも次々を成功させている。
新進気鋭同士の、ロシアのオーケストラと日本のトランペット奏者の共演は大成功に幕を閉じた。
この演奏は、DEGAレーベルの『Luxury Classics Maestor Select Vol.1』に収録されています。
この共演が高い評価を受け、2021年秋に、ロシア全土に渡る8つの国営オーケストラから客演要請が来ています。

・2/15@ミューザ川崎シンフォニーホール『Luxury Classics Maestor Select Vol.2』について

本公演は、私の15年に及ぶロシアでの文化交流・音楽活動と、メロディアとの共同制作、東京室内管弦楽団のヴィルトゥオーソの客演、全てが一つになった演奏となります。
会場は、サイモン・ラトルがベルリンフィルハーモニーに匹敵する世界的に優れた音響のホールだと絶賛した、と言われるミューザ川崎シンフォニーホール。

前半は、ロシアで演奏した、アルチュニアンのトランペット協奏曲、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲です。現地で絶賛されたロシア凱旋の両氏の全身全霊の演奏に是非ともご期待下さい!

後半は、チャイコフスキーの交響曲第5番。
近年、当然かのように大編成で演奏されている管弦楽曲や交響曲を室内管弦楽団の規模で演奏し続けている東室の、
大編成に劣らないダイナミックさ、中規模編成ならではの繊細さ、
そして、何と言っても演奏家一人ひとりの意思のある主張した演奏をお聴き頂ければと存じます。

本公演の休憩中に、ミューザ川崎シンフォニーホールの専属オルガニストの大木麻理氏によるパイプオルガン独奏を予定しております。
こちらも、是非お楽しみ頂ければと存じます。

創立100年に向けて、『新しい「感動」と出会えるオーケストラ』を掲げる我々が、皆様の心に残る演奏を、ミューザ川崎のステージから全身全霊でお届け致します。会場でお待ち申し上げております。

どうぞ宜しくお願い致します。


 

ありがとうございました!!

志村先生のこの原稿を頂き、以前東室ウィークリーで伺った物集女さん、津守さんとは違った視点で、録音での様子が伺えることができました。

東室のレーベルについてや、活動についてすこし裏側が垣間見えたのではないでしょうか。。!

リハーサルも先日から始まりました。
2/15の公演は素晴らしいものに仕上がっているかと存じます。

みなさまのご来場をこころよりお待ちしております!!

次回の東室ウィークリーもどうぞお楽しみに♪

※写真(2.3枚め)は先日のリハーサルの様子です。
津守さんのお写真は当団トランペット奏者の三澤さんから、隠し撮りを提供していただきました♪


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