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東室ウィークリー

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【東室ウィークリー Vol.98】

更新日:2019.06.28 

【東室ウィークリーVol.98】

蒸し暑い日が続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

事務局は汗水流しながら、事務所移転のための引越し作業に追われております。

さて、本日は東室ウィークリーをお届け致します。
今回は当団ファゴット奏者の神山純さんに「ファゴット」という楽器についてお話しいただきました。
低音を得意とし、オーケストラを下から支える反面、その独特な音色でソロもこなすとても素敵な楽器ですが、なかなか知られていないファゴットの歴史について等、沢山語っていただきました!!

それではご覧ください!


こんにちは。
今回はファゴットという楽器のあまり知られていない部分を切り取ってお話しさせてもらいたいと思います。

ファゴットにはもう一つの名前があります。それはバスーンです。
日本ではどちらの呼び方も使われていています。
ファゴットを演奏する人達は自分の好きな方の名称を使うので、自ずと「ファゴット派」と「バスーン派」に分かれることになります。
私の印象では「ファゴット派」がかなり多いと思います。理由はわかりませんが、私の勝手な想像では「バスーン」はバズーカ砲を連想させるからではないでしょうか(見た目も含めて)。あとは響きかな!?
しかしそれに反して指揮者は「バスーン派」も意外と多いのです。
ちょっと不思議です!
スコアに書いてあるから???
私はファゴット派ですが、決してバスーンという名前が嫌いな訳ではありません。

バスーン(Bassoon)というのは英語での呼び方で、ドイツ語(Fagott)やイタリア語(Fagotto)ではファゴットになります。
そしてフランス語では『バソン』(Basson)。このバソンというのはファゴットともバスーンとも違う楽器です。

16世紀にはすでに初期のファゴット(バスーン)は登場していましたが、その長い歴史の中でフランス式とドイツ式に分かれて改良されていくことになります。
はじめはフランス式が優勢にでます。
17世紀に登場したジョイント式バソンはかなり広く普及したようです。その後もどんどん改良が進んだバソンは性能でも奏法でもドイツ式ファゴットを大きく引き離して進歩を続けました。そして1800年代の中頃にはほとんど現在のバソンに近いところまで到達していました。
大きく後れを取ったファゴットはこの頃はまだ音程も悪く運指も定まらない状態だったようです。
しかしここからドイツ式の巻き返しが始まります。
ドイツのファゴット奏者アルメンレーダーは楽器製作者ヘッケルと協力し大幅な鍵システムの改良に取り組みます。そして1831年に工房を開設。
この工房がやがてファゴット製作会社として世界の頂点に君臨することになるヘッケル社です。
東室のファゴット2人はこのヘッケル社の楽器を使っています。

現在では世界中のほとんどのオーケストラがドイツ式の楽器になってしまいました。
フランス国内でさえドイツ式ファゴットのオーケストラが増えています。
バソンはもはや絶滅危惧種楽器なのです。
ファゴットの音色というのは柔らかく重厚な響きで他の楽器とも良く溶けるという特徴があります。一方バソンは明るく軽やかで自由奔放といった感じでファゴットとは対照的です。
どちらも別の魅力を持っていますが、指揮者や周りの楽器の人達からするとファゴットの方がやりやすいのかもしれませんね。
しかしドビュッシーもラヴェルもサン=サーンスもバソンを念頭において曲を書いています。
バソンには何としても頑張って欲しいし、私もバソンの絶滅を防ぐべく立ち上がりたいのですが、ファゴットとバソンの両方を演奏していくことは(特にオーケストラで)非常に難しいのです。
でも、私はいつの日にか東室で(曲によっては)バソンを演奏できる日が来ることを諦めずに頑張ってみようと思っています!

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■写真について
2-3枚目:写真は右側がファゴット、左側がバソンです
4枚目:右がファゴット、左がバソンのリードです


神山さん、ありがとうございました!!
ファゴットの他にバソンという楽器についても語っていただきました。

私は初めてその楽器の存在を知ったので、ぜひ東室サウンドの中で取り上げて聴いてみたいと感じました♪

次回は当団クラリネット奏者の山口夏彦さんに「クラリネットの活躍する曲とその聴きどころ」についてお話しいただきます!
次回もどうぞお楽しみに!!


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