東室ウィークリー
【東室ウィークリー Vol.99】
更新日:2019.07.05
【東室ウィークリーVol.99】
蒸し暑い日々が続いております…
東室事務局は引越しを終え、少しずつ日常に戻りつつあります。
さて、本日の東室ウィークリーは、
当団クラリネット奏者の山口夏彦さんによる、「クラリネットの活躍する曲とその聴きどころ」というテーマでお届けします。
様々なシーンで活躍しているクラリネットですが、昔はどうだったのか…?
そんな経緯と特徴を独自の視点でお話いただきました!
それではどうぞご覧ください。
こんにちは!
クラリネット奏者の山口夏彦です。
今日は私の担当するクラリネットのお話を…
クラリネットは、オーケストラの他の楽器に比べ、歴史が浅く新しい楽器です。
オーケストラのスタイルが、ある程度確立した後に加えられたため、
ハイドンやモーツァルトの時代では、曲の一部分だけと限定的だったり、
金管のファンファーレの補助だったり、といった消極的な使われ方がされました。
ベートーヴェンの交響曲「英雄」では、クラリネットが活躍する部分もありますが、クラリネットが省かれた古典的なスタイルの部分も存在します。
まるで、ベートーヴェンが「迷っちゃうな~、聴衆の皆さん、どっちがいいですか?」と言っているような感じに聞こえます。
同じベートーヴェンの交響曲「運命」では、有名な冒頭の「ジャジャジャジャーン」、弦楽器だけで演奏していると思っていらっしゃる方が多いと思いますが…
なんとクラリネットも吹いているんですよ…聴こえますか?
クラリネットの音が弦楽器の響きとブレンドしやすい、と発見されたんですね!
こうした「お試し期間」の後、オーケストラ全体の表現力が飛躍的に向上したり、楽器の性能が良くなったりして、クラリネットの存在感も大きくなっていきます。
ベルリオーズの「幻想交響曲」では、主人公の愛する女性がクラリネットで表現されます。
舞踏会で女性を見かける場面、主人公が死の瞬間に女性を想う場面、
地獄に落ちた主人公の前に魔女に变化した女性が現れる場面と、重要な役割を受け持っています。
…いかがでしたか?クラリネットは、木管楽器の中では、担当する役割の種類が多く、何でも屋的な立ち位置なので、曲によっては、ちょっとブラック臭がします(笑)
フルート先輩・オーボエ先輩・ファゴット先輩に、仕事を押しつけられる新人クラリネット…
現在はともかく、クラリネットが活躍し始めた頃は、そんな感じだったのではないでしょうか?
山口さんありがとうございました!!
時代によってクラリネットの使われ方が違うことを知ると、知っている曲でも新しい聴き方ができるかもしれませんね。
つい酷使されがちなクラリネットに幸あれ…!
次回の東室ウィークリーはついにVol.100!!
100回目にふさわしい記事を準備中です。
誰がどんなことを書くのかは更新をお楽しみしていただければと思います。
どうぞご期待ください!