東室ウィークリー
【東室ウィークリー Vol.91】
更新日:2019.04.26
【東室ウィークリーvol.91】
ついこの前始まったかのような新年度もすでに1ヶ月が過ぎようとしています。
ゴールデンウィーク10連休は皆様はどのようにお過ごしになりますか?
さて、先週から新たなスタートを切りました東室ウィークリー、
今回お話し頂きますのはヴァイオリン奏者の加藤 美菜子(かとう みなこ)さんです。
お話し頂きます内容は「ヴァイオリンの1stと2ndで演奏する時の違い、そしてモーツァルトを演奏する時の心構え等について」です。
当団で、1st、2nd 両方でご協力頂いた事がある加藤さんにそれぞれの役割や、
どのような意識で演奏しているのか加藤さんの考えを語って頂きました。
それではご覧ください!!
皆様、こんにちは。
東京室内管弦楽団ヴァイオリン奏者の加藤美菜子です。
春爛漫のこの季節、毎日たくさんの花が艶やかですね。
私は春に先陣を切って咲くコブシの花が大好きです。
満開の時間が短く儚い白のコブシが、夜にほんのりと浮かび上がる様子を見ると春を感じます。
そんな春の浮き立つ気分にピッタリの『平日マチネ Act.7 ~午後のひととき、ちょっと気軽にモーツァルト。~』が来月5月9日(木)にございます。
マチネを来月に控えて、今回はヴァイオリンのパートや、モーツァルトについて、私流に熱く!?語らせて頂きたいと思います♪
5月9日のマチネでは、菅野宏一郎マエストロの指揮により、東室の誇るお二人のコンサートマスター、物集女純子さん、小笠原伸子さんの2つのヴァイオリンのためのコンチェルトーネが演奏されます。とても楽しみです!
お二人の伸びやかな音色に、東室のメンバーの音が重なり・・・サントリーホールブルーローズではどんな響きとなるでしょうか。
楽しみに足をお運び頂けたらと思います。
ヴァイオリンには、1st、2ndと2つのパートがあり、それぞれ役割が違うことは皆様ご存知だと思います。
私は1stを演奏する時は、他のパートのハーモニーの上に乗って悠々と、
そして時折メロディーとして方向性を示すような力強さと、
またハイポジションの音も多くなるので、より緊張感をもって丁寧に、ということを大切にしています
2ndを演奏する時は、1stに比べて人数も減りますし、
より力強く1stのメロディーを支えるつもりでモリモリと豊かに、を信条に弾いております。
また、メロディーからハーモニーまで内声の役割が増えてきますので、
イレギュラーな音の配列もあるわけです。
そんな音の並びに気を配りつつ、素敵な対旋律や合いの手も美味しいので、楽しんで演奏しています。
そして、瑞々しく、時に物悲しく、水のように心に流れ込んでくるモーツァルトの旋律。
ヴァイオリン弾きとモーツァルトは切っても切れない関係です。
オーディション等では必須であり、学生時代の試験曲であったりと、
協奏曲の中では一番勉強する機会が多いかもしれません。
何度も演奏することで新しい発見があり、新たな課題が見つかります。
何も考えずに演奏していたあの頃・・今思うと本当に恐ろしいですが・・・(笑)
モーツァルトの4番の協奏曲が大好きで、卒業試験のプログラムの中で全楽章弾いたりもして、
私にとってモーツァルトは学生時代のちょっと甘酸っぱいような、ほろ苦いような気持ちを呼び起こします。
余談で弓の話ですが、私は以前、持ち手が軽く感じられる、華奢なフランス弓で演奏していました。
落ち着いた暗めの色のフェルナンブコ(ブラジルボク)で、軽やかな明るい音を出しやすく、モーツァルトを演奏するのにピッタリなので、自分ではモーツァルト弓と呼んでいます。
それから様々な曲を弾くにつれ、もっと厚く豊かな音、弓の重さが欲しくなって、最近はもう少ししっかりした鮮やかなオレンジの弓(こちらはブラームス弓と呼んでいます)をメインに演奏していますが、
今回は以前使っていたモーツァルト弓に持ち替えてぜひ演奏したいと思っています。
皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております♪
加藤美菜子
加藤さんありがとうございました!
同じヴァイオリンセクションといえど、それぞれの役割が違うためこのように演奏する際に区別をつけているのですね。
またモーツァルトの楽曲というのは、ヴァイオリン奏者にとって特別であり青春でもあるようです。
写真2枚目は弓が3本ありますが、下から2番目が加藤さんがおっしゃるブラームス弓、一番下の弓がモーツァルト弓だそうです。ちなみにどちらもフェルナンブコ(ブラジルボク)とのこと。
次回は打楽器奏者の宮崎 仁(みやざき ひとし)さんです。
「珍しい打楽器と、打楽器奏者ゆえの癖や習性」について語って頂きました。
来週の東室ウィークリーもぜひお楽しみに!!