東室ウィークリー
【東室ウィークリー Vol.89】
更新日:2019.04.05
【東室ウィークリー Vol.89 特別編】
4月に入りすで5日が経ちました。
新年度となり、新生活が始まったという方も多いのではないでしょうか。
来月からの新元号も公表され、時代が移り変わっていくのを実感する今日このごろです。
さて、昨年度末の3/29(金)は私共の一大イベント、【東京室内管弦楽団創立90周年記念公演】がサントリーホールにて3公演、開催されました!
今回はウィークリーの特別編ということで、今回のこの公演についてレポートしていきたいと思います。
ご来場いただいた公演につきましては、思い出しながら、ご覧になっていない公演は「こんな内容だったのか~」とお読みいただければ幸いです。
◆ぼくとわたしのコンサートデビュー~シンフォニック編~
朝からスタートした創立90周年コンサートプログラム。
最初にお届けいたしましたのは、当団で定期公演を行っております、
「ぼくとわたしのコンサートデビュー」からシンフォニック編をお届けいたしました。
0歳から入場可能の当コンサートは沢山のお客様で埋まり、あたたかい雰囲気の中コンサートがスタートします。
いつもとは違う、大きなホールでのコンサートは迫力満点な内容でお届けし、沢山のご高評を賜りました。
「時計とドレスデン人形」では藤井亜紀さんによるピアノ演奏で、
可愛らしくもテンポの早いまさに人形がクルクルまわる様が表現されていました。
ラテンメドレーでは親子でリズムにのって楽しんでいるのが伺え、当団打楽器奏者、小山有紀さんによるマリンバソロは「とても素晴らしかったです!!」とのお客さまからのお声をいただきました!
この曲では定番の菅野マエストロによるダンスを今回も披露🎵沢山の拍手が巻き起こりました!!
プログラム最後には、サントリーホールが誇る、日本最大級のパイプオルガンを使用した、大木麻理さん演奏によるサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き 第2部後半」をお届け。
その音色に会場内はは興味津々な様子で聞き入っているようでした。
アンコールではトトロのテーマ、忍たま乱太郎より「勇気100%」をお届けし、
大盛り上がりの中、コンサートは無事終演いたしました。
◆不滅の映画音楽&タンゴ
この公演は東室前音楽監督である、故いわくぼささを氏が編曲したポピュラー音楽や映画音楽を中心としたコンサートです。
オリジナル編曲であるため他のオーケストラでは絶対に聴けない、
東室独自のサウンドをたっぷりと堪能していただきました。
まずは開演前、プレコンサートとして、
「みのり学園」および「清明福祉会」の園児から学童の生徒さんまで総勢178名で構成された大編成の合唱とオーケストラで「ビリーヴ」と「タ・カ・ラ・モ・ノ」をお聴きいただきました。
一生懸命にしっかりと歌い上げる園児・生徒のみなさんに心を掴まれた方も多かったのではないでしょうか。
本編は当団の作編曲及びトランペット奏者、アドヴァイザーとしてもおなじみの三澤慶氏作曲の委嘱作品「3つの子守歌~Trois Berceuses~」をお聴きいただきました。
その名の通り、気持ちの落ち着くようなゆったりとしたサウンドでありながら、ストーリー性を感じさせる構成、舞台袖から聞こえるトランペットなど、聴衆を独自の世界へ引き込みます。
この後はしばらく、いわくぼささを氏によるアレンジの曲が続きます。
「恋は水色」「枯葉」「エデンの東」「ライムライト」
誰もが一度は耳にしたことがある名曲たちが見事にオーケストレーションされ、特にストリングスとピアノが随所で効果的に響き、「いわくぼサウンド」を余すこと無くお届けしました。
「屋根の上のヴァイオリン弾き より”サンライズ サンセット”」
日が昇り、沈んでゆく様を喜びや悲しみ、気持ちの移り変わりとリンクさせ表現したミュージカルおよび映画の名曲をソロ・コンサートマスター物集女純子さんが感情豊かに奏でました。聴いていて思わずぐっとこみ上げてくるものがありました。
続いて「組曲 火垂るの墓」では、儚く切ない物語を表現するように、繊細な演奏が印象的でした。”埴生(はにゅう)の宿”ではこの公演のために賛助出演いただいた幼稚園生から大人まで約440名にものぼる大勢の合唱が情緒豊かに歌い、会場全体の空気が一つにまとまったような一体感が生まれていました。
休憩が明け、この後はいわくぼ氏によるタンゴにアレンジされた曲が続きます。
「歌劇「椿姫」より第一幕への前奏曲~ヴィオレッタに捧げし歌」
「ジェラシー」「夢のタンゴ」「さよならはダンスの後に」
どれも情緒あるメロディーが特徴的で、そういった曲はタンゴとの相性は抜群。
哀愁もありながら、優しさや、格好良さも感じる編曲は聴衆の感情を大いに揺さぶります。
「タンゴ・ツィゴイネルワイゼン」では通常ソロヴァイオリンにて奏でられる旋律を
ヴァイオリン全員で奏でるなど、迫力満点のサウンドで客席を圧倒します。
原曲にはない魅力を新たに生み出し、これぞいわくぼサウンドであり、東室サウンド。他では絶対に聴けない名アレンジがサントリーホールに響きました。
本編最後を飾るのは「ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調より 第三楽章」
美しくロマンティックな旋律はどこか映画音楽のよう。マエストロ橘氏と東室の未来へのメッセージとしてこの曲を取り上げました。
そしてアンコール、まずは
坂本龍一氏作曲の「A」(アー)
この曲は当公演の協賛企業である山田養蜂場の化粧品ブランド「アピセラピーコスメティクス」のCMソングで、ヴァイオリンによるメロディが印象的な女性の美しさ、たくましさ、強さが表現された曲です。
続いて「風と共に去りぬ より”タラのテーマ”」「歌劇 タイース より”瞑想曲”」
を演奏し、大きな拍手に包まれながら、終演となりました。
タラのテーマは3/3に志村健一氏指揮のLuxuryClassicsでもアンコールにて演奏されましたが、今回は橘マエストロによるバージョン。両方お聴きになった方はいらっしゃるでしょうか…?
◆ANIME Symphony JAPAN Memorial Gala
プレコンサートとして田中公平氏の楽曲を演奏する、
「IGNIS SYMPHONIETTA」が出演。
「サクラ大戦」「トップをねらえ!」等から数曲を演奏しました。
本編最初の作品は「マクロスF」。
昨年の三越劇場でのコンサートが記憶に新しいですが、今回はギターやドラムなどバンド編成のない、フルオーケストラでの演奏ということで、改訂を施した譜面でお届けしました。
「劇場版 魔法少女まどか☆マギカ」より
[前編] 始まりの物語 / [後編] 永遠の物語 / [新編] 叛逆の物語
2013~15年に全国各地で開催された「魔法少女まどか☆マギカ オーケストラコンサート」の再演版となりました。
当時のコンサートにご来場いただいていて、また聴きたい!という思いでご来場下さった方もいたようです。ありがとうございます!
「機動戦士ガンダムSEED」からはオープニング、エンディング曲の3曲を演奏。
この作品目当てでご来場した方も多数いらしたようです。(アンケートより)
「刀剣乱舞」ではミュージカル刀剣乱舞のテーマソングとも言える曲を演奏。
「武楽-BUGAKU-」の源光士郎さん、高橋千さんお二人をゲストに迎え、
日本伝統と武道を融合させた力強い舞いと共にお届けしました。
「ガールズ&パンツァー 劇場版」では、作品内にてクラーラ役を務めるジェーニャさんが主題歌「piece of youth」を熱唱。ファンにはたまらないとてもレアな機会だったのでは…?
ここでアンバサダーのチェブラーシカと2010年版人形アニメにて監督をされた中村誠さんにご登壇。マエストロ志村氏、ジェーニャさんと共に当時の制作秘話などをお話していただきました。
この後はいよいよ「チェブラーシカ」の楽曲を演奏。
歌唱曲ではラリースカ役のジェーニャさんがロシア語で楽しく明るく歌い上げ、会場が和やかな雰囲気に包まれました。
「新世紀エヴァンゲリオン」
「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」
スペシャルゲスト緒方恵美さんをボーカルに迎え、「残酷な天使のテーゼ」「Fly me to the Moon」「Komm, süsser Tod (甘き死よ、来たれ)」「桜流し」の4曲を演奏。
緒方さんのときに熱く、ときにしっとりとした感情溢れる歌声は、会場全体を魅了しました。
作中でも使用されたバッハ作曲の2曲も演奏され、よりエヴァの世界が表現されていたように思えます。
「ジョジョの奇妙な冒険」「ONE PIECE」からはそれぞれオープニング曲、
「ジョジョ〜その血の運命〜」「ウィーアー!」を作曲の田中公平さんが自らピアノを弾き、歌うというスタイルで熱唱、熱演。
そのパワーで会場は大いに盛り上がり、ラストにふさわしいプログラムとなりました。
以上、長くなってしまいましたが創立90周年記念公演レポートでした。
それぞれのコンサートが過去、そして現在の東室を語る上で欠かせない内容・テーマとなっており、
指揮者、演奏家、事務局は一丸となり昨年の段階から開催へ向けて様々な準備を行ってまいりました。
その甲斐あってか当日は、
東室のサウンドや理念を皆さまにお伝えすることができたのではないかと思っております。
本当に沢山の方にご来場いただき、まことに有難うございました。
今後とも当団のコンサート、演奏家をどうぞよろしくお願いいたします!