2019-2020
season

東室ウィークリー

東室ウィークリー

【東室ウィークリー Vol.90】

更新日:2019.04.19 

【東室ウィークリー Vol.90】
年度が変わりまして、通常進行のウィークリーとしては今回が初となります

前年度までは月ごとにテーマを決め、複数の演奏家に同じテーマでお話していただくという形でしたが、より演奏家の方々の魅力、個性を引き出せるよう、今回から個別にテーマを設定し、語っていただくこととなりました。
よりパワーアップした東室ウィークリーにこれからもどうぞご期待ください!

さて、そんな今回vol.90を担当いただいたのは、
ヴァイオリン奏者の「杉本 伸陽(すぎもと しんよう)」さんです!
テーマは「コンサートでの衣装について」。
本番での衣装は足元まで常にビシッと格好良く決まっていて、私服もとってもお洒落な杉本さんならではの衣装にまつわるエピソードや心がけをお話しいただきました。

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皆さま、こんにちは。
2度目の登場、未だ90周年記念公演の興奮冷めやらぬ、バイオリニストの杉本伸陽でございます。
ご来場いただいた皆さま、改めて御礼申し上げます。

さて、今回頂きましたテーマはズバリ「コンサートでの衣装について」です。

長年舞台に関わって居りますと、数々の事件や印象深いエピソードが有ります。
その中でも一番は、やはり初めて行ったコンサートでしょう。
幼少の頃に父親に連れられて、確かロリンマゼール指揮・ベルリン放送響だったと思います。
当時は生で外国人を見る事など殆ど無い時代でしたので、まずは白人女性の綺麗さに見とれました。
そのうえ、これまた当時の実生活では目にする事の無い、下着の肩紐なんかが透けていて、少年の脳裏に深く焼付く事と成ります。
中盤で、豊田耕児がベートーベンのヴァイオリン協奏曲を演奏したのですが、こちらは結局焼き付かず仕舞いです。

無事に大人に育った現在でも、客席、舞台上を問わず華やいだ装いに包まれたコンサートの雰囲気が大好きです。
音楽に限らず、舞台衣装と言えば「正装」ですよね。
なぜ正装に成ったのかは全く知らないのですが、会場に足をお運び下さるお客様へ礼を尽くす、ごく当たり前の事とも言えそうです。
それにしても、往年の名演奏家やショウビジネス界の大御所達が、自然にタキシードを着こなす姿は、格好良くて惚れ惚れします。

御婦人方の素敵なドレスに関しては十分に描写しましたので、
得意の男性用衣装について進めて参ります。

コンサートでは正装や、いわゆる礼服、スーツなどを着ます。
時には黒シャツなんていう場合も有りますが、
当団の演奏会は必ずタキシードか燕尾服着用なので、きちんと正装しても浮いた感じになりません。
とても気に入って居ります。

個人的には、略式でない、正統な装いを心掛けて居ます。
一番お客様に近い列で弾く機会が多いのも一因ではありますが、
今まで巡り合って来た諸先輩方からの影響が、そうさせるのでしょう。
衣装や立ち居振る舞いに全く無頓着だけど、芸術には真摯な人。ただ単にお洒落な人。命懸けで弾く(死ぬ覚悟で行く)と言ってパンツまで変えて舞台へ向かう人。

洋の東西を問わず、いろんな人と巡り合いましたが、傾向としては、一流には正統派が多かったと思います。
聴衆のみならず、舞台というものや、芸術の伝統への敬意を表されてる様に感じます。
お世辞と分かっていても、彼らから靴を褒められたりすると、もう嬉しくて…(演奏は褒めてくれないの?)

コンサートとは関係ないですが、ホンダの創業者、本田宗一郎氏が受勲された折りに、「技術者の正装とは、真っ白なツナギだ」との名言を吐かれて、最後の最後までツナギで陛下の御前に臨まれようとされたという好きな逸話が有ります。
単なるドレスコードに留まらない、職業に対する誇りと申しましょうか、
揺るぎない信念のようなものも「正装」に込められて居るのかも知れませんね。

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杉本さんありがとうございました!
幼少の頃の思い出が現在でも印象深く残っているということは、余程鮮烈だったのでしょうね。
非常に気になります…(笑)

2枚目の写真は愛車を整備するツナギ姿杉本さん。正装ですね!

杉本さんは5/9(木)サントリーホールブルーローズにて開催の「平日マチネAct.7」にも出演いたします。
演奏はもちろんのこと、様々な経験と出会いを重ね、現在のスタイルに辿り着いた杉本さんの素敵な正装姿にも、ぜひご注目下さい。

次回の東室ウィークリー担当はヴァイオリン奏者の加藤美菜子さんです。
どんなお話になるか、どうぞお楽しみに!