2018-2019
season

東室ウィークリー

東室ウィークリー

【東室ウィークリー Vol.61】

更新日:2018.04.19 

【東室ウィークリー Vol.61】

4/21のコンサートが近づいて参りました。皆様如何お過ごしでしょうか。
少し早いですが、本日は東室ウィークリーVol.61を投稿致します!

今回はオーボエ奏者の林憲秀さんです。
以前にも東室ウィークリーにて色々お話しして頂いていたので、少し違った視点でお伺いしました!


1 林さんが、オーボエを仕事としていく上でこれは欠かさずしている。という事はありますか?

オーボエ奏者にとって最も重要なことをあげるなら、皆さん疑いなく「リード」と答えるのではないでしょうか。プロ奏者のほとんどが、リードを自作しています。多分、練習よりも多くの時間を割いていると思います。これは私見ですが、リードの良し悪しによって9割以上演奏の質は決定してしまいます。
そして、良いリードを作るために最も重要なことはと言えば「ナイフがよく研げていること」です。多くの奏者がリードを削るためのナイフや、それを研ぐための砥石にこだわりを持っています。その他にもリードを作るための器具は無数にあり、私の机は音楽家のそれとは思えない状態です。
リードの材料であるケーン(ダンチクと呼ばれる多年草)の質はもちろんですが、気候によってもリードの削り方に影響するため、オーボエ奏者は日夜リードのことばかり考えているのが実状です。そのとんでもなく面倒な作業は、各々の材料が求める鳴りを得るために、どこを削ってあげればならないか、素材と対話しながら探しあてるという、リードに対する愛がなければ成し得ないもので、もちろん、時に何を求められているのかわからなくなって感情的になることもあります。
リード削りから解放されたい、と口では言いながら、きっともうこれ無しでは生きていけないことにも気付いてはいます。

2 オーケストラのオーボエ奏者としては欠かせないレパートリー、「絹のはしご」が4/21のプログラムに組み込まれています。もし宜しければこの曲の思い出など有りましたら教えてください!

ロッシーニの「絹のはしご」はオーボエ奏者にとって、昨年演奏したラヴェルの「クープランの墓」と共に難敵のひとつ。特にアレグロのソロを軽快に演奏するためには、やはりリードの出来が演奏を左右します。
とにかくオーディションの課題になる曲ですから、プロを目指せば避けて通れない曲。この曲と対峙することになって、ダブルタンギング(※)という奏法と向き合うきっかけになったプロ奏者は、私だけではないと思います。
結婚して間もない頃、一時期家でこの曲をものすごくゆっくりなテンポでひたすら練習していたのですが、それをずっと聴かせ続けられていた妻は、そういう曲だと思い込み、後日実際のテンポを聴いてとても驚いていました。今回の演奏会でこの曲が取り上げられることになり、久しぶりにそんな若い頃を思い出しています。
春の新シーズン幕開けの冒頭曲を、お客様に清々しくお届けできれば、という気持ちでこの文章を書きながらも、頭はリードのことでいっぱいになっておりますので、そろそろナイフを研ぎに戻らせていただきます。
皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。

※ダブルタンギング・・・音に強調して区切りをつける奏法のこと。シングルタンギングでtu tu tu tuと発音するのに対し、tu ku tu kuと発音すること。


お忙しい中誠にありがとうございました!
写真は林さんのリード作成の作業場とのことで載せさせていただきました。写真を拝見し、お答え頂いた内容を読んでいると、手先の器用さが求められ繊細さを持ち合わせた大変な技術が必要な楽器だと感じました。不器用な私には手が震えてできそうにありません。。
4/21のコンサートではそんな林さんの超絶技巧が聴ける「絹のはしご」をぜひお楽しみください♪