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東室ウィークリー

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【東室ウィークリー Vol.59】

更新日:2018.04.12 

【東室ウィークリー Vol.59】
当団メンバーの”今”をお届けする、Facebook・twitterのコンテンツ、
《東室ウィークリーVol.59》本日アップ!
 

2017年11月より少しお休みを頂いておりましたが、
今年度より少々リニューアルして再開することになりました!

それでは早速ではありますが、リニューアル最初にフォーカスをあてましたのは、
プリンシパルコンダクター、橘直貴氏です。

是非ご覧ください!

1 音楽に興味を持ったきっかけ、音楽と橘さんとの生い立ちを教えてください。

子供の頃から母親にピアノを習わせられました(笑)。他の男の子と同様外で遊びたい年ごろでしたので、正直いってピアノの時間は苦痛で仕方がありませんでした。中学に入った時に、勉強することを理由に晴れて(?)ピアノのお稽古をやめました。ところが、ピアノが弾ける男子が入ってくる、ということで、吹奏楽部にお姉さんを持つ友人に誘われて吹奏楽部に入ってしまいました。ピアノをやめてさぞかし清々とすると思われましたが、不思議とそうはならず、楽譜を買ってきては見よう見まねで様々な作品を弾いてみることになります。

中学の3年間は、文字通りホルンと吹奏楽にのめり込みます。顧問の先生がいらっしゃれない時の合奏を指揮することも、この時初めて経験します。そこで、初めてスコアというものを目にします。3年生の時に、母親にピアノを改めて習いたいとお願いしました。無事に高校へ入ったら習わせましょうとなりました。僕は高校に入り、念願叶ってピアノのお稽古を再開します。

高校では、学校の吹奏楽部に入部せず、中学の時の仲間と共にアンサンブルを作って演奏を楽しみました。同時に、音楽というものが自分の人生において大切なものなんだということを自覚するようになるのはこの時期です。

2 どうして指揮科になったのでしょうか。

高校2年生の秋、ピアノの先生に大学の進路について尋ねられます。その時初めて指揮者になりたい、という心情を自分以外の他人に伝えました。先生は驚きつつも、そのために何をすべきかということを真剣に考えて下さいました。以来、月に一度東京に通い指揮のレッスンを受けながら、札幌では聴音、ソルフェージュ、和声法などを本格的に学ぶようになります。

勉強の過程において「大学では何か一つの楽器を究めなさい、指揮法は桐朋の場合別の方法でも学べるから」とアドバイス下さった桐朋の先生がいらっしゃいました。そのアドバイスに従って僕は、中学の時に吹いていたホルンを手にしてレッスンにつくことになりました。僕のホルンの師匠であった故・安原正幸先生は、僕が指揮者になりたいことを知って弟子にして下さいました。

ホルンで桐朋を受験することが決まったのは、高校卒業の約半年前。このままホルンで受験しても受からないだろうという先生のご判断はその通りだと思って、高校卒業と同時に上京してその年は大学受験せずに受験のために勉強を始めます。僕の実家は音楽家の家でもなくお金持ちでもなかったので、新聞配達の奨学生というのを一年やって、住み込みで働きながら浪人をしました。それを一応やり遂げて大学に合格したことで、それまで音楽の道に進むことに難色を示していた父親も納得してくれたようです。

大学生活はホルンと指揮を勉強し、指揮科に転向したのは卒業後に進んだ研究科を経た後のことです。どうして指揮者になりたいと思ったのか?それはきっと、スコアというものを見るのが好きだったからだと思います。そこに書かれている情報を読み解いて音にする。その読み解き方によって、実際に聴こえてくる音楽が演奏によって全く違うものとして聴こえてくるということに、強く興味を惹かれたのだと思います。

3 橘さんが出演される、4/21のChamber Music StyleOp.10ですが橘さんからみる聴きどころはどんなところでしょうか。

僕がオーケストラに求めるものは何だろう?と改めて考えてみたのですが、僕はオーディオも大好きで、そこではよくいわれることですが、解像度のよいサウンド、という言い回しになるかと思います。全ての声部が活き活きとして有機的に結びついていて、音は明るく、その輪郭や立ち上がりは明瞭であること。そして何より、演奏者の顔、表情や表現が一つ一つ見える演奏、というものを作りたいのです。そしてそれは、東京室内管弦楽団のような小さな編成のオーケストラにだからこそできることでもあります。「音楽は対話である」というのは、僕が最も尊敬する指揮者、故N・アーノンクール氏の書いた素晴らしい本の題名でもあります。音を使って対話することが、オーケストラの究極の目的ではないでしょうか?自分と違う何を持った他人と共有、共鳴する部分が増えることが喜びとなることがアンサンブルであり、それは自分を滅して相手につけることではないと思います。全ての演奏者が”これならいい”と感じる寄せどころを見出すまでに多少時間は掛かるかも知れないし、またそこで出来上がるものは、多少デコボコがあるかも知れない。しかし、細いレールの上をはみ出さないようにそっと歩かなくてはいけないような演奏に対し、そうではない音楽作りへのアプローチのオーケストラが存在してもよいのではないか、僕にはそう思えてならないのです。そして、自分が求める理想的な音楽作りの現場を、東京室内管弦楽団の皆さんと僕はこれからも作っていきたいと思います。

最初はピアノを習わされていたという橘さん。苦痛だったものがきっかけで現在も音楽を続けていらっしゃるとは人生なにがきっかけか分からないものです。
また、音楽に対する、そして東室に対する熱い思いも語ってくださいました。私も音楽に関わっている身として、演奏するにあたっての捉え方、とても勉強になりました!


橘さん、ありがとうございました!今後とも何卒宜しくお願い致します!!

次回はコンサートマスターである小笠原伸子氏にフォーカスをあてていきます。
4/21のコンサートではソリストとして出演致します。どうぞお楽しみに!

10/19、14;30開演です!
皆様是非、東京文化会館小ホールへお越しください^^
詳細はこちら→https://tco.or.jp/2018-2019-spring-chamber-music-style-op-10/


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