2018-2019
season

東室ウィークリー

東室ウィークリー

【東室ウィークリー Vol.82】

更新日:2019.02.08 

【東室ウィークリー Vol.82】

2月に入ってはや1週間。
東室では3月のみなとみらい、サントリーホールでのコンサートへ向けて、
様々な準備でだんだん忙しくなってまいりました。
どの公演もきっと楽しいものになると思いますのでどうぞご期待ください!

さて、今回の東室ウィークリー Vol.82は当団コンサート・コンシェルジュでもあり、
副首席ヴァイオリン奏者の「中村 備生(なかむら そのう)」さんです!

「ぼくとわたしのコンサートデビュー」シリーズのお話&ナレーションでもおなじみの中村さんに、当シリーズへの思いや、「不滅の映画音楽&タンゴ」については当団前音楽監督のいわくぼささを氏との思い出を語っていただきました。


皆さま、こんにちは。
2018-2019シーズン、東京室内管弦楽団は、創立90周年を迎えます。
90年という長い歴史、そして100周年とその先へ~大海の一滴として、自分が身を置ける事、大変光栄に思います。

今日は、90周年を記念して、3月29日、サントリーホールにて開催される二つのコンサートについてお話させて頂きます。
午前の部は、「ぼくとわたしのコンサートデビュー」。
このシリーズは、近年、私も企画・構成、そしてナレーションと、深く関わらせて頂いています。

音楽を楽しむためには、まず、コンサートに足を運んで欲しいのですが、どうも敷居が高くて~とか、
子どもが泣いたらどうしよう~と、ためらっている方に、是非いらして頂きたいと思います。

子どもと大人が共に楽しめるプログラムですので、一緒に口ずさんだり、手拍子をしたりと、自由にお楽しみください。

小さなお子様には、話しかけて興味をつなぎとめ、音楽には、「楽しい」「悲しい」「恐ろしい」などの感情があることを教えてあげてください。
どうしても泣き止まなかったり、騒いでしまう時は、中座すれば済むことで、悪い事でも何でもありません。

それよりも、自分もコンサートを作っている大切な一人だ考え、拍手をしたり、
演奏者をちゃんと見たり…と、積極的に参加してください。
演奏者や他のお客様からも見られていると意識して、ちょっとドキドキ緊張した時間を過ごす事も大切です。

お子さんには、コンサートを体感する事で、音楽とは相手を喜ばせるために、人がしている行為だと分からせてあげてください。
そうすると、作曲者や演奏者を認め、音楽を尊重できるようになると思います。この事はきっと他の事にも通じるでしょう。

子育ては、大変なもので、思い通りにならなくて〜と、皆さん悩んでばかりと思います。
でも、それが「生きていく」という事で、子どもは必ず「成長」した姿を見せてくれます。
このコンサートで、音楽を通して親子で触れ合い、子どもさんと過ごす時間が、かけがえのない大切な時だと、より一層感じて頂ければ幸いです。

このコンサートを含め、最近は司会を任される事があります。
「弾いて、しゃべって~と、大変ね~」とメンバーは労ってくれます。
確かに準備の時間が必要ですし、仕事の量も多いですが、その分、知識も増えましたし、何よりコンサートを一つの作品として捉えられるようになりました。

勿論、プロのアナウンサーではないので、滑舌やアクセント等、学ぶ事が沢山ありますが、プレイヤーの私に出来る事は、ステージと客席を繋ぐ橋渡しだと思います。

いつも心がけているのは、舞台上にある集中や緊張の気を、MCが入る事により途切らせない事です。
コンサートには、良い演奏が絶対条件です。
演奏者がその気になって、気持ちよく演奏できる雰囲気を作り、
コンサート全体を一つの流れで進めて行くのが理想です。

まだまだお伝えしたい事、沢山ありますが、それは当日のお楽しみ~にしましょう。

続いて午後の部は、「不滅の映画音楽&タンゴ」。
このプログラムの多くは、楽団で長く音楽監督を務めていらした、故いわくぼささを先生の編曲によるものです。

私がこのオーケストラに初めて伺ったのは、30年位前の事と思います。当時は、バブル全盛期で、世の中が舞い上がり、私も若いというだけで、ちやほやされ、イイ気になって生意気を言うわがまま娘でした・・・
先生は、そんな事には我関せず、といったご様子で浮かれることもなく「好きな音楽やって、飯が食えるなんて、こんな贅沢な事はないんだよ~」と、いつもおっしゃってました。

先生は音楽の表現の仕方については、あまり細かい事は触れずプレイヤーに任せてらしたのですが、サウンドに関してはとてもこだわっていらっしゃいました。
ヴィクター・ヤング、パーシー・フェイス、ポール・モーリア等がお好きだった先生は、「エデンの東」の冒頭の部分などは、イメージと違うと、納得するまで何度もやり直し、上手く行くと「お~!この音ですよ~」と、目を細めてとても嬉しそうにされていました。

先生が最後に編曲されたのが久石譲さんの「君をのせて」だったと思います。
病床で書いてらしたので、音符が全て埋まっているわけではなく、所々スケッチのような状態でしたが、メンバーで話し合い、イメージしながら楽譜を完成させました。その時の美しいサウンドは、今でも私の耳に残っています。

今ではとても珍しくなった手描きの譜面からは、先生の想いやメッセージを感じ取りながら、なつかしく演奏しています。
先生からは、どんな音楽も、全ての人の前で平等だ、という事を教えて頂きました。
そういった考えが、 音楽鑑賞教室や様々なジャンルへの取り組み、といった楽団の活動に繋がっていると思います。
音楽がなくても、人はそれなりに人生を送る事は出来ます。
でも音楽があれば、より楽しく、感動の量も増える事でしょう。

このコンサートでは、楽団のアコースティックならではの深い響きを楽しんで頂きながら、こういった想いをお伝えできれば、何よりと思います。
きっと、先生もどこかにいらして、「いや〜みなさん。ありがとうございます〜ぅ!」と、目を細めて笑ってくださる事でしょう。

それでは、みなさまサントリーホールでお会いしましょう。

ヴァイオリン奏者
中村備生


中村さんありがとうございました!
演奏家としてはもちろん、こどもと保護者の目線にも立って考えることで、
「ぼくとわたしのコンサートデビュー」シリーズが成っているのですね。
様々な気配りにあふれた当シリーズ、ぜひ皆さまには会場で体感していただきたいです!

ウィークリー担当の私はいわくぼささを先生とお会いしたことがないのですが、
先生の温かい人柄と音楽への真摯な姿勢がとても良く伝わってきて心が暖まる文章でした。
そんないわくぼ先生の書いた譜面がたくさん演奏される「不滅の映画音楽&タンゴ」私自身も聴くのがすごく楽しみになってきました…!

さて、来週も「東室90周年コンサートに向けて」をテーマにお届けする東室ウィークリーの担当は、
東室では編曲も手がけているピアノの「中山育美」さんです!!
今回も内容に出たいわくぼサウンドの特徴と思い出をピアニスト独自の視点でお話しいただきました。

次回もどうぞお楽しみに!