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【ご案内】活動再開向け橘直貴マエストロよりメッセージをいただきました。
更新日:2020.09.18
当団主催公演の再開にあたり、当団の理事、プリンシパルコンダクターの橘直貴氏より、
皆様に向けてメッセージを頂きました。
今後も当団の活動理念「求められる演奏活動」のもと、
皆様に求められるオーケストラであるよう、活動を続けて参ります。
先ずは明日、活動再開出来ますこと皆様に感謝申し上げます。
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新型コロナウィルスの感染拡大により、あらゆる文化活動が制限されてから約半年が経ちました。ステージで演奏する人たちの飛沫は実際にはどのくらい飛ぶのか、弦楽器がそれならば管楽器はどのくらいなのか?といった様々な検証がようやく行われるようになり、これならやっても大丈夫、客席にこのくらいのお客さまが入っても大丈夫といった新たなガイドラインというものが出来つつあります。未知なるウィルスを上手く避けつつも、常に情報を上書き更新し科学的な根拠の裏付けを取ることで活動を再開させていこうという動きは、ジャンルを問わずたいへん前向きで心強いものに私には感じられます。
東京室内管弦楽団も、やむを得ず活動を中止せざるを得ない状況ではありましたが、ようやく再開に向けての第一歩を踏み出すことになりました。本日は、再出発への旅立ちの演奏会となります。演奏者の方々も待ちに待ったであろうその瞬間への喜びを、最高の音で届けてくれるに違いありません。
感染拡大防止のためのリモートワーク、オンラインの活用など、生活や働き方が変化しつつある中で、音楽の世界においてもオンラインでの発信の試みがいくつも行われています。新しいやり方を模索するという姿勢には共感しつつも、私たち東京室内管弦楽団は生演奏の素晴らしさ、そして同じ空間を共有するからこそ生まれる感動を何よりも大切にしたいということを第一に大切にして参りました。パソコンやスマートフォンなどの機器、電波を介して届く音ではなく、同じ空間にいる演奏者が奏でる楽器の音、その振動が聴く人の鼓膜、または骨を直接震わせる、そして脳へ心へと響いていく、このことが最も大切なことだと改めて感じます。
聖書の詩篇には「鹿が谷川の水を求めるように」という言葉があります。これは、人が神の力を慕い、鹿が谷川の水を欲するように信仰を求め喘ぐことの例えです。昨今、暗いニュースの多いこの世の中において、生演奏の素晴らしさを欲する飢えにも似た気持ちの皆さまに対して、私たち東京室内管弦楽団として一体何ができるだろうかと考えてきました。常に求められる音楽ということを掲げて活動している私たちが、では何のために音楽はあるのかという問いを突きつけられ、その答えをこれまで以上に模索する日々の連続でした。
私自身も東京室内管弦楽団と同様、活動停止による在宅での時間が増える中、音楽、仕事、また人生そのものについても一旦立ち止まって考えることを余儀なくされました。新型コロナウィルスに感謝するつもりは毛頭ありませんが、在宅期間中、自分の中で本当に大切なことは何なのか、今後をどのように見据えるかいうことを考え直す時間となりました。転んでもただでは起きない、皆さま同じく私も東京室内管弦楽団としましても、そのようにありたいものですね。
理事・プリンシパルコンダクター
指揮者 橘直貴