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東室ウィークリー

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【東室ウィークリー Vol.29】本日更新!

更新日:2016.10.28 

【東室ウィークリー Vol.29】
当団メンバーの”今”をお届けする、Facebook・twitterのコンテンツ、
《東室ウィークリーVol.29》本日アップ!

今週はチェロ奏者の斎藤章一さんです。
斎藤さんは当団の演奏活動に長く関わり、
東室の歴史あるサウンドを継承し次の世代へと引き継いでくれるメンバーの一人です!

是非ご覧下さい♪


こんにちは。チェロ奏者の斎藤章一です。
章一という名前は日本映画界の至宝小津安二郎監督につけていただきました。

まず最初に、なぜチェロ奏者になったのかを…。
私の父親は、斎藤高順という作曲家で、NHKの朝ドラや、映画音楽、特に小津安二郎監督の作品のほとんどを作曲しました。その後航空自衛隊音楽隊長や警視庁音楽隊長を歴任して、数々の吹奏楽曲を作曲しました。
その父の弟が、斎藤鶴吉というチェロ奏者で、N響の団員でした。
私の小さい頃は、叔父も一緒に暮らしていて、私の実家である家は、世田谷区の下馬という、渋谷からも程近い便利な場所にあったため、叔父が、組んでいたカルテットの練習をよく下馬の家でしていました。
ファーストヴァイオリンは、当時日本最高のヴァイオリニストと言われていた、海野義雄氏でしたので、一流の生演奏を幼少の頃から、当たり前のように聴けるという幸運に恵まれました。
しかもチェロの先生は、目の前にいてソルフェージュ等は父に習いました。
父がいつもベートーヴェンの運命やシューベルトの未完成とか名曲のレコードをかけていてヨハン・シュトラウスのポルカを聴きながら家の中を走り回るような、幼少期でした。
そんなわけで、当たり前のように藝大に進学して、プロのチェロ弾きになりました。
そんなふうに言うと、全て順風満帆のように、思われますが、実は藝大付属高校の入試に失敗しています。
一次、二次のチェロの試験は受かったのですが、三次の勉強で落ちました。
国語、英語、社会の三教科でした。みんな良くなかったですが、社会が特に酷かったです。
特に歴史は、どうして、そんな昔の本当かどうかもわからないことの年号とかを丸暗記しなくてはならないのかと、素直に覚えようという気がなく、ひねくれた考えがあり、だめでしたね。
そのくせ学校の勉強に関係ない在来線や新幹線の線路の幅とか、車の馬力とか、やたら詳しく、ひとの電話番号は100件以上覚えていましたから、本当に年号は覚える気がなかったんでしょうね。
藝大付属高校の試験は、1月と早くて、まだ都立高校の試験が受けられ、しかも社会がなく、国語、英語、数学でしたので、なんとか都立に入れましたが、とても普通の良い大学に行けるような学力には、なりませんでした。
そんな自分が、今現在、東大を出たようなチェロの生徒さんから、先生と呼ばれ、先生の教え方は論理的でわかりやすいなんて、言われて、笑ってしまいます。
又高校2年の頃は、オートバイにはまり、夜中まで乗り回していた時期もありました。後で聞いたのですが、そんな私のことで、両親は連日仏壇に拝んでいたそうです。親にずいぶん心配と迷惑をかけたと思います。
私は5人兄弟の一番上で、兄弟のうち4人が音楽家です。又その連れ合いや、従兄弟にも音楽家がいるので、身内だけで、チェロ、コントラバス、オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、クラリネット、ホルン、ハープまでいます。
コントラバスの弟とは、一緒に住んでいる頃は、よくデュエットで演奏しました。
普通の家庭の子が、音楽家になるのは、大変なようです。自分が先生という立場になってみてつくづくそう思います。

次に東京室内管弦楽団とのかかわりについて、お話しします。
現東室メンバーの中では東室の歴史を、最も良く知っている一人と思います。
どういうことかと申しますと今から40年近く昔まだ自分が藝大の学生か院生の頃に、東室の演奏に初めて参加しています。
卒業した後も、レギュラーメンバーとして、東室のほとんどの演奏活動に参加していました。
指揮者は必ず、当団を今の体制に築いた、いわくぼささを先生で、他の方が指揮することはありませんでした。
当時、連日のようにあった鑑賞教室で、よく覚えているのですが、ロッシーニのウイリアムテル序曲を演奏する時、はじめのチェロソロからするんですよ。
しかもまわりに、読響の現役の方や、N響や、都響のOBの先輩方がいらっしゃる時も、いわくぼ先生は、20代の若造の私にソロを任せてくださったんですよ!
今では考えられませんよね。(その後の、各地のオーケストラで客演首席奏者として呼んでいただけるようになった大きなきっかけとなりました。いわくぼ先生には、オーケストラプレーヤーとして育てていただいたとしか、言いようがありません。)
そのような鑑賞教室の仕事が、多い時に月25日ありました。今と違い土曜日も休みでなかったからです。しかも夏は暑く冬は凍える寒さの体育館でしたから、演奏するほうも聞くほうもで大変でしたよ。
他にタンゴやポップスのコンサート、100ストリングスなんていうコンサートもありました。
その当時は、プロオーケストラはどこも人手不足で、私は朝は音教、夕方からゲネプロ、夜本番で別のオーケストラなんていう毎日でした。
もう本当に忙しく、車の免許を取りに行く暇もありませんでした。
私の担当するチェロは、当時はハードケースが重くて楽器を運ぶのが大変でした。
今のように、ショルダー付きカーボンファイバーの軽量ケースなんてありませんでした。そのため、チェロ弾きは基本車移動でした。
私は、子供の頃より乗り物が好きで、16歳の時に大型自動二輪車の免許を取りました。
18歳には、車の免許と思っていましたが、なんだかんだで、取り損ねたので、オートバイにサイドカーつけてチェロを載せようとか、考えましたが、現実的でないのでやめました。
程なくして車の免許をとって、東室の仕事も車で行くようになりました。仕事場は、毎回初めて行くような場所ばかりで、当時はカーナビもなく辿り着くのが大変でした。
いわくぼ先生も車好きで、よく駐車場で話をしたものです。その後、先生が車を買い替える時に私に無償で譲って下さったり…とか、本当にかわいがっていただきました。
いい想い出がいっぱいです。ちょっと昔話になってしまいました。
今もそのころからのメンバーが結構いらして、いわくぼサウンド健在です。

さて10月29日に、八ヶ岳高原音楽堂で午後4時より、テノール歌手秋川雅史さんとの共演があります。
先月、銀座の王子ホールでも共演しましたが、さすがスター!オーラ全開でした。
又、11月19日には上野の東京文化会館小ホールで、先々週の東室ウィークリーでヴァイオリンの髙木さんが紹介していましたが、「四季」をはじめとする“ヴィヴァルディ祭り!”があります。是非お越しください。

人生最初のプロオーケストラが東室で、還暦を迎えた今も、演奏し続けているということは、よほどのご縁と思い感慨もひとしおです。


今週はチェロ奏者の斎藤章一さんでした。
斎藤さんは当団の演奏活動に長く関わり、東室の歴史あるサウンドを継承し次の世代へと引き継いでくれるメンバーの一人です!
11月19日の【Chamber Music Style op.5~The Vivaldi Variations】にも、そんな当団との関わりの深いメンバーが出演します♪
皆さんそれぞれに東室での思い出が沢山あり、温かみのある音色に一層深みを増してくれること間違いなしです!
お聴き逃しのないよう、皆様お誘いあわせの上ご来場ください。

来週は指揮者の菅野宏一郎さんです。
次回の投稿もお楽しみに!


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